たぬきの読書

読んだ本の感想やら

おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子

 

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

 

 

この本は、生きるということを「老い」というテーマで鮮やかに描き出した作品でした。

 

起:この本を読もうと思ったきっかけはタイトルです。主人公である桃子さんというおばあさんの語りは多くが東北弁で語られています。私はこのおばあさんと同じ地方出身なので、興味を持ちました。

同じ地方出身というだけあって、大体の言葉の意味は分かりましたが、東北と縁もゆかりもない人たちからしたら読み進めるのも一苦労なんじゃないかなと思って読んでいました。

 

承:作品のあらすじは、主人公の桃子おばあさんが生活の中で考えていることや、人生で何に気づいたかが語られるというものでした。

 

老いと戦う桃子さんだからこそ気づける、人生の境地のような気づきがいくつもありました。

 

それは生きることと表裏一体である死がもたらす悲しみにあふれていることであったり、自分の為に生きることの大切さ、人の為に生きることの愚かさ、自分が生まれるまで繋がってきた生命の偉大さ、などです。

 

個人的には、娘、息子に自分と同じ思いをさせないように育ててるつもりが、結局自分と同じ思いを抱かせる結果になってしまうエピソードがとても心に残っています。

親の呪い、、、とまでは言わないですが、家庭の影響って大きいよなーって思うと同時に、子供に自分本位の教育をしないように気を付けようと思いましたね。

 

自分の中にいるたくさんの自分と会話することが当たり前になっている桃子さんですが、これは自分の色々な側面を表しているのだと思いました。同じ自分でも様々な側面があると思います。それが一人の生活の中で溢れ出してきたんじゃないかなーと思いました。

 

周造という夫がいたようですが、彼は突然死んでしまい、それまでの絶頂の幸せから一気にどん底に落ちた桃子さんですが、そこで独りで生きることに憧れていた自分に気づきます。そこで周造が自分に独りの時間を与えてくれたと意味づけをし、乗り越えようとします。

 

こういう意味付けって大事ですよねー

本田圭佑さんとかいつもポジティブなこと言っててすごいなーと思うんですけど、これと同じ感じかなーって思いました。起こったことに対して、感情的な処理で終わらせないで、意味をつけてポジティブに考えてる。

なんだかそれを思い出しました笑

 

 

芥川賞の本は何冊か読みましたが、どれも人の内面?を強く描き出しているなーと思いました。そういう意味ではとても芥川賞らしいなーと思って読みました。