たぬきの読書

読んだ本の感想やら

医者の本音 中山祐次郎

今回読んだ本はこちら

医者の本音 (SB新書)

医者の本音 (SB新書)

 

医者の本音。

 

 

作者の方は大腸等を専門とする外科医。

 

私は幸い、これまでに大きな病気というのはしたことがありません。

 

 

しかし、物心ついた頃からアトピーで、

ひどいときには身体を少し動かしただけで、皮膚が切れて痛いというレベルでした。

 

肌が激弱なので、訳わかんない発疹がでたりと、アトピー以外のことでもお世話になりました。

 

どうして俺ばっかりという気持ちはいくらでもありましたが、この本の後半を読み、すーっとそういうどろどろした気持ちがなくなるようでした。

 

 

 

そういう訳で、医者にかかることは多かったので(症状は限定的ですが、、、)腹の中では何を考えてるのか気になり購入しました。

 

 

 

本音といいつつも、医者の実情を教えてくれるもので、気分の悪くなる非情な現実、というものはなかったように思います。

 

 

読み終わって最も印象に残っているのは、

①常軌を逸した多忙さ

②死と老いについて

です。

 

 

医者って高給取りで、なんだか患者に対して偉そうだし、、、いけ好かない連中だ!

なんて気持ちがいくらかありました。

しかし、完全な休日なんてほぼない毎日、いつ呼び出されるか分からない、家に帰って寝るだけ、、、、など

 

自分の時間などあるんでしょうか?

そんな多忙を極めている日々の中で、ひとりひとりの患者に誠実に向き合うなんてのは人間業じゃないよなー

なんて思ったりもして。そりゃ給料ぐらいそこそこ高くなきゃやってらんないと思いました。

 

 

 

死と老いというのはやっぱり医者の永遠のテーマなんですかね。

一般人に比べて、医者は死への恐れが少ないという話がありました。

"死を知れば知るほど、死を見つめれば見つめるほど、死にまつわる迷信や迷妄が払拭され、死の恐れが少なくなっていく"

実際にデータが出てるのに驚きました。

 

人の死を否が応でも経験する医者という職業

それはとても過酷なことであると思います。

 

 

 

 

 

 

医者の本音、を通して病、命について考えるいいきっかけになりました。

吾輩は猫である 夏目漱石

今回読んだ本はこちら

 

吾輩は猫である

吾輩は猫である

 

 少し前に読んだ坊っちゃん

あれはあんなに読みやすかったのに・・・

 

今回は100ページちょいで挫折しました(泣)

 

坊っちゃんは主人公の魅力と、その周りの人間たちの人間ドラマに魅了されるうちに読み終えることが出来ました。

ページ数もそこまでなく、やはり言葉が昔のものであるのでスラスラと淀みなく読み進められたかというとそうではありませんが、それでも読み終えることが出来ました。

 

しかし、本書を購入して家に届いた時の第一印象

この本分厚っ(-_-;)

 

そして内容を読んでいくと、昔の言葉が多く平易には読み進められませんでした。

 

 

しかたなしに、ネットであらすじを検索して読んだ次第でございます。

 

ページ数にして500ほどでしたが、それを400字程度にまとめている方がいて驚きました。

 

吾輩は猫である、名前はまだない

 

というタイトル

 

そして、酒を舐めて、酔っぱらって転倒し溺死するという結論

 

それ以外あまり知識がありませんでしたが、主人公の教師の人柄であるとかは理解できました。

後半になるとその人も亡くなるようで、ちょっと内容は気になるのですが、、、

 

 

読むペースが上がらないので無理です(笑)

すべてはモテるためである 二村ヒトシ

今回読んだ本はこちらです。

 

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

 

 こういった啓発本?を買う人は本のタイトルがそのままその人の気にしているところ(コンプレックス、不安、より伸ばしたいところ)だったりすると思う。

”折れない自信を作る”、”心を落ち着かせる○○のルール”など、そういった直接本の内容が分かるものは、それを求めている人が手に取っているように思う。

それはこの本も例外ではなくて、

つまり、モテないのである(泣)

だから、このインパクトの強いタイトルに後ろ髪をひかれ購入に至ったのである。

 

 

なぜモテないかというと、それはあなたがキモチワルいからでしょう。

あなたがモテたいと思う気持ちの真意は?なぜなぜと掘り下げていくと?

あなたの気持ち悪さは具体的にどういうこと?

小手先だけの猪口才な方法論でない、自分自身を見つめ直し、人という生物の最大のテーマ”モテ”に切り込む一冊であった。

 

 

この本がモテるためのテクニックがどうのとか書いてあることを期待しているなら、早急にこの本を読むことを辞めていただろう。そういう具体的な方法を示すというよりかは、モテない自分を哲学する。という本であると思った。自身がなぜ”モテない”ことで悩んでいるのか。本当の目的はどういうことであるのか?等、抽象的だった自身の欲を具体化するために掘り進めていくには始まり、気持ち悪さがどこに起因しているのかの追及に繋がる。今の自身を見つめなおし、改善への手がかりとなる一冊。

 

 

ちなみに私がこの本を読んで考えた自身の気持ち悪いところ

①自意識過剰で臆病である(守りばかりで開示がない)

②同じ土俵に乗るということが出来ていない。

 

①自分がどう思われるかを気にしすぎているっていう感覚が多少ある。

礼儀正しいキャラを演じている感があって本当の自分で接していないと思うところがある。自然体でないというか。そういうところが、なんだか周りから見ると妙な違和感があって”なんかキモチワルイ”のかもしれないなーと思った。

自然体でみんなに笑われるようことができる人、になりたいものだなあ

 

②なんだかうまく場をつなぐことばっかり意識して相手の立場とか気持ちとかを読まずに自分のことをべらべらしゃべったりするっていうことがある。

思い当たる節がありすぎる。

同じ土俵に乗る、という言葉が何度も登場するので身につまされる思いで読んでいた。

 

 

・・・なんて異性とのかかわり方なんかを学ぶことができる一冊だった。

しかし、そうはいっても参考にするところは参考にして、という感じで、ぎちぎちにマニュアルにしないでゆるーく実践して生きたい。

 

 

 

 

坊っちゃん 夏目漱石

今回読んだ本はこちらです。

 

坊っちゃん (新潮文庫)

坊っちゃん (新潮文庫)

 

 夏目漱石坊っちゃん

 

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている

最初の一文。これくらいは自分でも聞いたことがある。

読後に見ると、この一文に主人公の人柄が全て集約されているといっても過言ではない。

 

 

なぜこの本を読もうと思ったかというと、

①誰もが知っている名作であるのにストーリーを知らなかったから。

②この前読んだ”語彙力こそが教養である”で本作品がおすすめされていたから。

あんなに読んでいて飽きない文章を書く齋藤孝先生6回音読してなお、味わいのある名作とはいかほどのものか、という気持ちで読み始めた。(すぐ影響されるんです(-_-;)

 

まず読んでみてびっくりしたのは、普通に読めることですね。

気負って読まなくてもすらすらと内容が入ってくる。

明治時代に書かれた本が今の時代に当たり前に読むことができる。

そんな作品を書くことができる、夏目漱石の文才に感激ここに極まれりといった感じです。

 

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている

主人公の坊っちゃん。曲がったことが大嫌いな実直な性格。そして割り切りのよいカラッとした、義理堅い男。胆力はないというが、癇癪持ちでいざというときには潔く行動を起こす。エネルギー溢れる、自我を強く持った男。

少年時代から、そのまっすぐな性格に端を発したトラブルが絶えなかった。そのせいか、家庭では厄介者扱い。世話をしてくれるばあさんの清だけはその人柄を褒め続けた。

 

高校?を終わって四国の田舎へ数学教師として働きに出る。

都会の人とは性質が違い、ずるい、ねちっこい、平気で人を陥れる、上のものにこびへつらってばかりいる、など彼にとってどこかおかしいな、と感じる人々

田舎特有の町の狭さからくる閉塞感など、過ごしづらい場所での生活が始まる。

 

生徒とのもめごと、教師間でのいさかい、人をだまして自分だけ得をしようとする教頭、校長という立場にあぐらをかいて実質的な働きをせぬ狸。

 

様々な問題が起こる。

普通なら一歩二歩後ずさり、妥協点をみつけるところかもしれない。

 

しかし彼は、

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている

そういう人間だ。

持前のまっすぐさで、どんな問題にも真正面から向かい合う。

 

正しいことは正しい。

間違っていることは間違っている。

 

そんな当たり前のことをなんで忘れていたんだろうと思わされる話です。

 

いつの間にかなんかうまい生き方覚えちゃったなーって気持ちになります。

 

 

 

自分の利益か、義理か、彼は迷わず義理を選ぶでしょう、

本当に正しいか?間違っているのはどっちだ?

 

彼の審美眼、そのまっすぐな無鉄砲さを見習いたいものです。

 

 

語彙力こそが教養である  齋藤孝

 

語彙力こそが教養である (角川新書)

語彙力こそが教養である (角川新書)

 

 

この本を読んで気づいたこと、、、それは、

 

俺の日常の語彙って50語ぐらいじゃね?

 

学生時代の方が簡易的な若者言葉に頼らず、会話ができていたと思います。

自分の頼っている語彙を見つける、という節がありましたが、私の場合はすぐに見つかりました。

 

というか大いに自覚があるんですよね。

 

すごい、めちゃめちゃ、ほんとに

この三語が会話の中でどれだけ登場することか。。。 (´・ω・`)

これを意識して人と話すと自分がどれだけ限られた語彙しか使っていないか分かります。

 

気づいたら、ほんとに!めちゃめちゃ!すごいのよ!

気を付けます。

 

 

この本のタイトル

語彙力こそが教養である

 

読み終わってみて私が思うことは、

語彙力こそが教養である。ということです。

 

この本を読み終わった人は皆そう思うんじゃないの?

って思うぐらいにそう思ってます。

 

 

それはなぜか?

 

 

 

著者である齋藤孝先生の文章表現が美しいだけでなく、言葉の端々に現れる教養。

それに圧倒されるからです。

 

私にとってこの本は青天の霹靂。

 

尋常ではないインプット量が文章を読み進めていくだけでわかります。

 

お前は語彙力がないやつだ、と内なる敵に真綿で首を絞められるような感覚に陥りながらも読みました。

 

途中からは感心する気持ちばかりになっていました。

本当に教養がある人だなあと感じながら読みました。

なぜそう感じるのか、それはやっぱり語彙力にありました。

 

齋藤孝先生の文章には

的確な慣用句であったり、漢熟語、故事成語、歴史的文法、ことわざ、四字熟語

三国志や有名なエピソードからの引用を用いたもの、比喩表現。

 

この人はいくら引出があるんだと驚かされてばかりです。

 

私が気に入った比喩は、きなこもちにコーラをかけるみたいなもの

どうやってそんな比喩思いつくねん、と思いました。

 

元気だよ、春先のモルダウ河みたいに

には負けますがね笑

 

 

自分もこれからはインプットしたことを忘れないようにメモに取るなど習慣付けて

 

語彙力をつけたい!!

教養あふれる男になりたい!!

知的な言葉を操りたい!!

 

そう思った一冊でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海の見える理髪店 荻原浩

今回読んだ本はこちらです。

 

海の見える理髪店 (集英社文庫)

海の見える理髪店 (集英社文庫)

 

 第155回 直木賞 受賞作!

 

ってこともあり期待もそこそこに読み始めました。

 

まず意外だったのが短編集であること。

 

海の見える理髪店の話一本の大作だと思ってたのでまずそこで驚きました。

 

ひとつひとつの短編を読み進むにつれて私の頭の上には、、、

?がたくさん浮かんでいました。

ミステリー風?不仲の親子?喧嘩中の夫婦?家出少女?時計屋?娘の成人式に代理出席?。。。?

 

前評判も一切見ていなかったので、この本のテーマはなんなんだ?

と思いました。

 

最後まで読み終えてさすがの私も理解できました。

 

共通するテーマは、、、「家族」

以下、商品説明引用。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら...。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集

 

この通りです笑

こういうの考える人ってホントすごいですね。

この三行に全てが集約されています。

 

 

永遠のようで儚い家族の日々

喪失の痛みとその先に灯る小さな光

 

この言葉が本当にしっくりきます。

 

全6編の話のそのすべてが全く異なる形で”家族”を時に美しく、切なく、暖かく、ノスタルジックに、無邪気に表現しています。

 

家族とはどこか深いところでつながっている部分がある。

どんなに距離を離そうが、意識していなくても、大きな影響力がある。

その一種の愛情的な部分が流麗な文章で表現されています。

 

暖かい人の心を”家族”というテーマを通して感じられる一冊です。

 

 

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

海の見える理髪店

海の見える理髪店のオヤジの話。

主人公が髪を切りに行った理髪店のオヤジ。

めちゃめちゃ話す。自分の生い立ちから今に至るまで。

そこには、妻と子供との別れ、人を殺めた過去、ビジネスの成功と失敗。

様々な過去があった。

主人公とオヤジは実は親子関係であり、お互いそれを知っているが知らぬふりをしたまま物語は終わる。

散髪を通したコミュニケーションではあったが、お互いに満足しているように見える。

 

・オヤジと主人公がつながるとは思わず、展開の鮮やかさに驚いた。

・オヤジと主人公とは生き別れのようなものだからお互いの距離感がつかめない感じがリアルに伝わってくる文章であった。

 

 

いつか来た道

不仲の親子の話。

教育熱心だった絵描きの母と疎遠になっていた娘の話。

昔から自分のルールが厳格にあり、厳しかった母。

娘は成長するにつれ反発するようになり、16年もの間連絡を取っていなかった。

弟が面倒をみていたが、転勤により不可能に。

娘が面倒を見ることになる。そのため実家に行ってみると、、、

母は認知症になっており、かつで自分の中にあった厳格なルールは感じられなくなっていた。

三つ子の魂百までというが、娘は子供の時の記憶からか、母に何か言われるのではないかと子供のように怯えていた。

しかし、今の母は変わり果てていた。なんとか娘の前で矜持を保とうとするが娘からは認知症の老いぼれであることがバレてしまう。

かつての母との違いに、母を客観的に見ることができた娘は

今までの事を後悔する。。。

 

 

この話はこれぞ”人情”って感じの話でした

お互いに意地を張っていたけれど、母の現状を見て自身のしてきたことの重さがどれほどのことだったかが分かるって感じで。

気づいて後悔した時には遅い感じも、人生って感じですよね。

 

大体のことって後悔した時には遅すぎるんですよねー

 

 

一番、楽しく読めたのは、

「成人式」という話です。

最愛の娘を失い、生気を失っていた二人の夫婦。

毎日娘のことを思い出してしまっては泣き、前進もなく過去に囚われ続けている。

ところが、成人式の振袖のチラシをみて夫が奇妙なアイデアを思いつく。

そうだ、夫婦で娘の代わりに成人式に参加しよう!

これをきっかけに二人は生気を取り戻す。

様々な取組の末、この思い付きは成功し、

ずっと停滞し、進むことのなかった二人の時間も動き出す。

 

やっぱり何か新しいことをやってみるっていうのは大事ですよね

毎日同じことしかやってないといつしか変わったことができなくなってくって経験自分もあります。

 

新しいことにチャレンジしていきたいものですね。

 

 

 

 

 

ひなた弁当 山本甲士

今回読んだ本はこれです。

ひなた弁当 (小学館文庫)

ひなた弁当 (小学館文庫)

 

山本甲士さんの「ひなた弁当」

 

表紙がもう面白そうですよね

この会社員の哀愁漂う背中

もう即買いでした。

 

 

恥ずかしながら、山本甲士さんの本を読んだのは初めてですがこの本で一気にファンになりました。

 

 

主人公の良郎の控えめな性格、人柄のよさにはとても好感が持てます。一度落ちるところまで落ちた人間が、野生?に目覚めていき、日を重ねるごとに活力に満ちていく様子は読者を興奮させます。

 

登場人物も色とりどりで、"人生"のあり方。生き方、強い人間とは何か、を考えさせられる1冊でした。

 

涙を誘うような感動的な話ってページをめくる手が止まらないですよね?

 

この本はそういう本ではないと思います。

 

だけれども、日々変化していく良郎自身、家族関係、人間関係を読みすすめていくにつれて、次はどんなことをするの?どんな人間ドラマがあるの?

とワクワクしてページをめくる手がの止まりませんでした。

 

私も良郎のような先入観、固定概念に惑わされない真の強い男になりたいです!

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

 

あらすじ

主人公は中堅の住宅関連の会社「王崎ホーム」に勤める気が弱くて、成績もそこそこ、同僚には軽んじられ、家庭でも冴えない男扱いされている良郎。

会社でも仕事をそこそこにし、人間関係もそこそこ、出世なんかは出来ないだろうと諦めている、活力のない男。

会社の人員削減によってリストラにあってしまった良郎たち。

上司は裏切り、同僚もなんとかコネで再就職を果たすが良郎はなかなか仕事が見つからなかった。

 

スキルもなければ、風貌だって冴えない。くたびれた中年を雇ってくれるところはなく、再就職活動は門前払いの日々。家庭でも妻には強くあたられ、娘には無視される。アルバイトをやっても腰痛が原因で続かず、ただ外を徘徊する日々だった。

 

その日常を変えたのは公園に落ちてたドングリだった。

"これって食えるのかな?"

この疑問から良郎の生活はどんどん変化していく。

 

食べられる野草、木の実などを収穫し食べていた。

家族にそのことがバレると、

「食品会社の研修で」

と嘘をついた。

 

川で釣りをしていた人に釣りを教えてもらい、魚を調理するようにもなった。

 

そこで思いついたのが、自身の採集した食材を使った弁当屋だ。王崎ホーム時代にお世話になっていた弁当屋に頼み込み商売を開始する。

 

自然の中でどんどん自分らしさを発揮し、落ちるとこまで落ちたことで俗っぽい執着のなくなった良郎はこのときには会社にいたときとは別人になっている。

 

商売も機動に乗り、様々な人たちとの関係も変わってくる。

以前の良郎を知るものはみな一様に変化に驚き心の中では憧れのような気持ちを抱いていたように思う。

 

採集生活を始めてから出会った人たちも様々あり、相互に好影響を与えている関係である。

 

そういった人々のつながりもあり、弁当屋「いわくら」は順調に売上を伸ばし、

それだけでなく良郎自身に向けた仕事も入ってくるようになる

 

家庭でも、妻も駄目な夫としてではなく、パートナーとして接するようになる。口を利いてくれなかった妹も活力にみなぎる良郎に影響を受け、ある決断をする。

父にも頼るようになる。

 

活力に満ちた今の良郎は自分でもいい感じじゃないかと思うほどであった。。。

 

 

って感じの話。

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ面白かったです。

 

 

 

良郎が自分と重なるとこあって感情移入しまくりでした。

リストラを機に採集したもので弁当屋やってそれで、男としても生まれ変わる。

 

こんな話読んだことないですよ笑

 

 

どんどん活力に溢れてくる良郎をみて自分もたくさん元気を貰いました。

次はどうなってくの?って感じで読んでいてめちゃくちゃ楽しかったです。

 

自分が特に楽しく読めたところは人間関係の変化の部分です。

 

会社でもなんだか冴えないやつと思われ、家庭でも駄目な父、夫扱いされていたのに、

日々に楽しみを見出してからの良郎はそうでなくなります。

 

大学時代の同じゼミにいた知人の堀江。

大企業に就職するも、転勤続きが原因で家庭はしっちゃかめっちゃか、仕事も頭を下げて、へつらって、、、

 

バッティングピッチャーをやらされてた不良の樋口。

好き勝手やってるってイメージだったが、なんだか影のある人になっていた。ヤクザをしている。自分の楽しいように生きているようなガラの悪い彼もなんだか人生にくたびれた感じ。

 

なんとか総務部長

疲れた顔して、「いわくら」の営業を門前払い。偉そうに暇人はいいよと話す。

 

リストラされた派遣社員の小奈美さん。

良郎がリストラされたときは、目も合わせない感じだった。あんたとは違うと言いたいけどバイトしてる自分は外から見ると同じなのかと悔しそうに見えた。自身が好きなことで仕事を始めてイキイキしている。

それが良郎にも好影響を与えて、その後何度か登場する。

 

野草採集で出会った株主の紳士、釣りを教えてくれた人、釣りを教えた若者、その父、、、、、、、

 

 

 

など様々な人間関係が良郎にはある。

そこに潜む気持ちを読んでいくと痛快である。

良郎のことを軽んじていた人たちは多くが「いわくら」にで活動している彼より、地位だのお金だの世間一般で評価されるものをたっぷり持っている人たちである。

であるのに、みな良郎に一種の憧れのような感情を持って接している。ように見える。

彼も、ざまあみろなんてことは思わない。性格もあるが楽しいこと、自身の生活に満足してる人はそんな、勝ち、負けみたいなことを考えないんだと思う。

 

 

第二の人生(採集生活を始めた良郎)で出会った人たちはみないい人で好影響の相互作用が起こっている。

 

家族の変化も見逃せない。

妻が日を追うごとに、夫を見直しているのが手に取るようにわかるし。

家庭内にいても交流のなかった娘とは頼られるまでになっている。

あの娘が弁当屋に来たときは自分のことのようにめちゃめちゃ嬉しかったです笑。

 

 

リストラ→採集生活→弁当屋

っていうストーリーだけでも奇抜で他にはない読み物なのにそれに加えて

 

 

この心温まる人間模様

 

 

ほんとそこが最高でした。

 

 

あと、前の記事の堀江さんの話じゃないけど

やりたいことがあってもできない理由を見つけてやらないって言う経験ありませんか?

 

例えば、釣りがやりたい!

でも捌けないし、料理法もわかんないからやんない

 

的な感じです。

 

 

でも良郎を見てると、好きなことだから?なのか調べてやります。

 

やり方を調べるってのはこの時代簡単にできるのに、めんどくさがって自分はやってなかったなっていうのに気付かされました。

 

何かが好き!とか楽しい!って大事ですね

そういう人ってエネルギーの総量が違う感じがします。

 

自分を充実させることがよりよい人生つながるんですねーシミジミ

 

 

心が温まり、自分自身も活力に満ちる感覚がありました。

 

 

良郎の変化に、ワクワク、周囲の変化に、ドキドキ

たまに心温まり、まだただ良郎の今後を見ていたくなる一冊です。

 

 

本当に面白かったです!

(仕事中も早く読みたいなーって思ってたぐらいですもん)

物語の中に没入する感覚が久々に味わえました。

山本甲司さんの本、違うのも読んでみようと思います。