読書力 齋藤孝
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この本は、まず読書力とはどういうものであるか。ということから始まる。
要約力、読書習慣の有無、具体的なところでは、緊張感の伴う読書として
新潮文庫の百冊を読んだ、という指標も示される。
江戸時代の識字率、日本人の勤勉性などの文化的発展に読書が大いに関係していることを示す。
そして、読書が自身にとってどのように活かされるかを述べていく形だ。
章は三章でなっており。
自己形成としての読書。自分を鍛える読書。コミュニケ―ションとしての読書が大きな柱となっている。
三章とも共通して語られる事柄は効果的な読書の技法である。どのように本と向き合うか、著者の考えが述べられている。
身銭を切って本を購入する、三色ペンで記入しながら読む、読んだら経験を人に話す、など、テーマによって書かれ方は違うが習慣としての読書とどう相対していくか、著者の考えが分かる。
自分と向き合いながら、他者を知る、その非日常な”体験”から自分の中にたくさんの師を共存させる。物事の広きを知ることで客観性が出てくる。ひとつのことを絶対視したり、これと決めたもの以外をいけないと論じるような偏狭な考えに陥ることを防ぎ、幅広く雄大な自己を形成するのに役立つ読書
読み聞かせや音読などが持つ絶大な効果を例に挙げ、言葉、語彙力を身に着け、彩鮮やかなイメージ喚起を楽しんだりと、技を磨く、スポーツと共通する読書。
単純なように見えて分析してみると複雑な日常会話。相手の話すことの幹からずれずに枝葉へ繋げていく。その練習として。そして、本の話をすることでお互いに知識欲を鼓舞し、より精神的、知識的向上を目指せるツールとしての読書。
読書の効用を自己形成、表現等の技術として、そしてコミュニケーションとしてということを主軸として、多角的に述べ、そしてより効果的な読書との向き合い方が語られている本。