バカの壁 養老孟司
今回読んだ本はこちらです。
著者である養老孟司先生。
昆虫とかの解剖をやってる学者だったよな。。。くらいの認識しかなかった私。
有名な方なので、みなさんはよく知っているかもしれませんが
一応著者の紹介です。
養老 孟司は、日本の医学博士、解剖学者。東京大学名誉教授。神奈川県鎌倉市出身。 2003年に出版されたバカの壁は419万部を記録し、戦後日本の歴代ベストセラー4位となった。
2003年に出版されたとは驚きました。今の感覚とそう違いはなく、違和感なく読むことが出来ました。
読み始めると、最初のうちは哲学的で難しい内容だなあと思っていましたが、
とりあげられるあらゆるテーマは我々人間に共通する普遍的なテーマに関するもので、
医学、解剖学の門外漢である私にもある程度理解しながら読むことが出来ました。
人間の脳内の反応を一次方程式で示した
y=ax
(y=出力、a=脳の中でかけられる係数、個人の感情などによるもの、x=入力)
として示しました。
当たり前となっていたことを明確に数式化されたことで、そういえば確かにこの法則で自分の中の反応は起こっているなと実感させられました。
印象に残っている節のひとつに
共通了解と個性の話
があります
文明の発展は共通了解が深く関係してきた。
人と人が情報、感覚を共有することによって共同体としての進歩が進んできたという理論である。
そこで、昨今の個性を誇大に尊重させる教育へ切り込んでいく。
個性なんてのはわざわざ意識するまでもなく備わっているものであって、
自分自身が心がけて喧伝していくものではないという。
人類の文明が進歩してきた方法と今の行動はあべこべになっているという。
こういった、自分の中では当たり前すぎて、深く考えることの対象にもならないことを考えさせてくれるという点では、少し前に読んだ、落合陽一さんの「日本再興戦略」を思い出しました。
自分自身は不変のものである!という思い込みの誤り。
これも、自分には全くなかった考えでした。
自分自身の意思は連続しているもので不変のもの!
私はこういう人間だ!
私は、こういった考えを持っています。そして正しいことだとも思っていました。
しかし、昔はこうじゃなかったのになー、
なんか自分ってこんなだったっけなー
なんて思うことが増えてきました。
しかし、
万物は流転する
というようにすべてのものは移り変わっています。
情報などの固定的なものは不変でありますが、
人間のような生物は変わっています。
5歳の時の自分と今の自分。
顔つきも身長も何から何まで違います。
y=ax この数式によって様々な反応が加わっています。
そんな自分が昔の自分と同じなんてとんでもない。
朝道を聞かば、夕死すとも可なり
と論語の言葉を引用していました。
物事を”知る”ということはそれだけ劇薬であり
それのみでモチベーションになりうるべきはずのものである
見える景色がまるっきり変わるなんてことも容易に起こりうる。
そういう考えは私にはなく、不変でない私はおかしい!
と思い悩むことがありましたので、いいヒントになりました。
また、人間の無意識にも触れ、
寝ている時間は無意識になっている私たち人間は
不確かで、一元論的に物事を決めてはいけないというお話もありました。
街の都市化(人間の意識によって作為的に作られたものになっていくこと、碁盤の目のような都市を作ったり、人の接する空間が、人工化していること)
意識化したされた街にいては無意識との間に齟齬がでてくるなど、、、
凡人の私には日常の中で気づきもしなかった様々な話題を取り上げています。
人間の脳、身体、風習
文明の進化
経済状況
教育
様々な角度から”バカの壁”について考える。
一流の教養と知識がある養老孟司先生だからこその着眼点だと思いました。
疑う常識なんてないよ!と思ってる方は読んでみると
考えもしなかった”当たり前”になっていたことへの発見があって楽しいかもしれません。